うつ病や適応障害といった症状で労災申請する場合、連続勤務(2週間以上の連続勤務)と長時間労働が認められると、労災認定率は高くなる傾向にあります。
もし、あなたが連続勤務や長時間労働をしていた場合は、迷わずこの点を強調して主張しましょう。
今回の記事で作成した長時間労働の証明Excelデータをもとに、連続勤務のカウント方法と月別労働時間の作成方法を紹介します。
連続勤務を証明する方法

連続勤務の前提
精神障害の労災申請リーフレットには、以下のように記載されています。
2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った
参照:精神障害の労災申請リーフレット 7ページ 13番
厚生労働省
連続勤務の項目で「中」判定になる例
・平日の時間外労働だけではこなせない業務量があり、休日に対応しなければならない業務が生じた等の事情により、2週間以上にわたって連続勤務を行った場合。
(1日あたりの労働時間が特に短い場合を除く)
「1日あたりの労働時間が特に短い場合を除く」、ここでいう「特に短い」とは何時間になるのか、担当の労働基準監督官に尋ねました。
つまり、通常の業務(1日8時間と仮定)では終わらない業務量をこなすため、仕方なく休日に3時間以上仕事をして、2週間以上休みがなかった場合は「中」判定とみなされます。
連続勤務の項目で「強」判定になる例
・1ヶ月以上にわたって連続勤務を行った。
もしくは
・2週間以上にわたって連続勤務を行い、連日深夜の時間帯まで時間外労働を行った。
「強」判定に当てはまると労災認定。
(個体側要因も考慮されますが、労災認定の可能性は極めて高くなります。)
基本は、「精神障害の労災申請リーフレット」にある出来事の心理的負荷の強度をもとに、状況を整理します。
リーフレットの活用方法は、以下の記事にて紹介しています。合わせてご覧ください。
「強」判定に近い、複数の「中」判定の出来事を重点的に主張しましょう。
Excelを使った連続勤務の確認方法
ここからは前回作成したExcelを使い、3時間以上労働した日数を確認していきます。

今回は、わかりやすいように抽出したデータに修正を加えます。
(通常は抽出したデータ(日時等)の変更をしてはいけません。証拠としての信憑性が落ちてしまいます。)

前回作成したExcelの続きになります。
K列に、3時間以上の労働時間(PC起動時間)を表す欄を追加します。

2行目 K列の関数
=IF((E2-G2)>=TIME(3,0,0), E2-G2, "")
この数式は、E列「1日あたりのPC起動時間」から、G列「休憩時間」を差し引いた値が3時間以上であれば、その時間をK列に表示。そうでなければ空白を表示します。

関数を入力したら、ホームにある数値「標準」を「時刻」に変更。
そして、セルの右下隅にあるフィルハンドル(小さな正方形)をドラッグして、必要な行まで関数をコピーします。

3時間以上業務をした時間が表示されました。
(今回のExcelは説明用に作成しているため、2023年度の休憩時間・シフト時間は0時間にしています)
あとはセルの数を数えて、何日間の連続勤務が発生していたのか把握しましょう。
続いて、行の先頭を固定します。
下までスクロールすると、何列目にどの項目(データ)を示しているのかわかりにくくなります。
そこで、ウィンドウ枠の固定を行います。


これで下までスクロールしても、どこに何のデータがあるか把握できます。
月別の時間外労働を証明する方法

月別の労働時間を作成すると、一目で労働時間が把握できるため、第三者に状況を説明しやすくなります。
見やすい資料を作成して、労働基準監督官に長時間労働の事実を伝えましょう。
連続勤務と同様、精神障害発症前の6ヶ月間が調査対象の期間になります。
(ハラスメントについては継続性が考慮されます。)
リーフレットをもとに、発症前の6ヶ月間の出来事を重点的にまとめて、精神障害の発症は業務によるものと証明しましょう。
時間外労働の前提
精神障害の労災申請リーフレットには、以下のように記載されています。
1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った
参照:精神障害の労災申請リーフレット 6ページ 12番
厚生労働省
リーフレットの具体例を要約
「弱」判定:1ヶ月に80時間未満の時間外労働を行った
「中」判定:1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った
「強」判定:1ヶ月に160時間以上の時間外労働を行った
(もしくは、2ヶ月連続で120時間以上、または、3ヶ月連続で100時間以上の時間外労働を行った)
Excelを使った月別の時間外労働の確認方法
今回のExcelでは、2024年2月~2023年5月までの10カ月間の労働時間を確認します。
精神障害の発症時期が明確な方は、発症前6か月の労働時間のみ証明してください。
まずは、2024年2月~2023年5月までを入力します。
列はどこでも結構です。
今回はシフト時間外労働の列を合わせて作成します。

つづいて、I 列に関数を入力します。

I 列の関数(2024年2月度)
=SUMIFS(I:I,D:D, ">=" & DATE(2024, 2, 1),D:D, "<" & DATE(2024, 3, 1))
このSUMIFS関数は、特定の条件を満たすセル範囲内の数値の合計を計算します。

説明すると、この数式は I 列にある数値の中で、D列の日付が2024年2月1日以上かつ2024年3月1日未満のものに該当するデータの合計を求めます。
今回のExcelでは、2024年2月~2023年5月までの10カ月間の労働時間を確認します。
数式の日付を変更して、各セルに数式を追加していきます。

I 列の関数(2024年1月度)
=SUMIFS(I:I,D:D, ">=" & DATE(2024, 1, 1),D:D, "<" & DATE(2024, 2, 1))

I 列の関数(2023年12月度)
=SUMIFS(I:I,D:D, ">=" & DATE(2023, 12, 1),D:D, "<" & DATE(2024, 1, 1))
同じ要領で、残りの月も埋めていきます。

I 列の関数(2023年5月度)
=SUMIFS(I:I,D:D, ">=" & DATE(2023, 5, 1),D:D, "<" & DATE(2023, 6, 1))
すべての月のシフト時間外労働が算出できました。
念の為、入力した関数に間違いはないか、別の関数や電卓を使って確認しましょう。
労働時間の確認は念入りに。

範囲を選択したSUM関数で5月度のシフト時間外労働を算出します。

J 列の関数(2023年5月度)
=SUM(I141:I152)
22時間46分44秒。同じ時間が表示されました。

これで、各月に何時間の時間外労働を行ったのか明確になりました。
自分と監督官が見やすい資料を作成
自分がわかりやすい資料作りを心がけると、聴取の際に説明しやすくなります。
備考欄にシフト・勤務形態(8時ー17時)など、第三者がわかりやすい資料を作成してください。
Excel資料のプリントアウトはA3用紙がおすすめです。1枚で広範囲のデータを表示できます。
実際に私が提出した連続勤務や時間外労働のExcel資料には、PCログ記録を追加。広範囲のデータをA3用紙にプリントアウトしました。

資料提出時は、連続勤務の最低時間(1日あたりの労働時間が特に短い場合を除く)がわからなかったため、とりあえず4時間以上の業務日を連続勤務としてカウントしました。

シフト時間外労働では、PCログと算出したデータの確認が取りやすいように編集してプリントアウトしました。
時間外労働の資料はA3用紙を目一杯使いました。
A3用紙は表示できるテータが広いため、Excelなどの証拠をプリントアウトするサイズに適しています。
ご自身のデータにあわせて、見やすく説明しやすい資料を作成してください。
作成した資料の提出方法

作成した資料はUSBメモリにデータを入れて提出、またはプリントアウトします。
ここからは、各提出方法の概要を紹介します。
USBにデータを入れて提出
これまでイベントログのPDFや連続勤務・長時間労働を証明するExcelを作成しました。
作成したデータをPDFに変更してプリントアウトするか、USBに入れて提出しましょう。
私が提出した連続勤務・長時間労働の証拠(すべて印刷)
・PCログのPDF資料(データ未修正)
・PCログをExcelで日別に修正した資料
・最も長時間労働を行った月を、日別で説明した資料
私は当初、労働基準監督署に提出する証拠はすべてプリントアウトする必要があると思い込んでいました。
そのため、A4用紙700枚以上の証拠をプリントアウト。その中から重要と思われる証拠を選んで提出しました。
振り返ってみると、かなり効率の良くない証拠収集でした。
USBでも提出可能と知ってからは、複数の「中」「小」判定の証拠はUSBに入れて提出しています。
証拠が多い場合は、USBにデータを保存して提出すると便利です。
監督官が内容物を見つけやすいように、USBにデータを保存する際はフォルダをわけたりファイル名を統一したりして、わかりやすくまとめましょう。
こちらの記事でUSBデータの証拠提出時のファイル名の決め方などを紹介しています。
私は以下のように統一しました。
日付 - タイトル - 関わった人物 - 手段
- 日付:出来事があった日(西暦で統一)
- タイトル:時間外労働・休日対応・ハラスメントなど
- 関わった人物:上司や同僚を実名で記載
- 手段:メール・通話履歴など
証拠を提出する際は、出来事・それを証明する証拠を意識して、一貫性を持たせましょう。
証拠は多ければ多いほど良いです。
わたしたちが重要と思っていない出来事の証拠であっても、労働基準監督官からすると重要な証拠の場合があります。
しかし証拠が多すぎると、監督官が重要な証拠を見落とす可能性があります。
そこで、リーフレット「中」「小」判定に該当する複数の証拠は、USBメモリにデータを入れてフォルダ分けをしましょう。
証拠の選定は監督官にお任せします。
作成した資料や証拠をプリントアウトして提出
私を担当する監督官から、プリントアウトする際のルールを教わりました。
プリントアウトで提出する方法
・片面印刷
・プリントアウトのサイズはA4またはA3用紙
・書類はクリアファイルまたはクリップ留め(ホチキスNG)
リーフレット「強」判定に近い証拠はプリントアウト。特に主張した部分をマーカーで線を引いたり補足事項を書き足したりすることで、監督官が事実を把握しやすくなります。
クリアファイルの色分けをしたり、付箋を貼ったりして、重要な部分を強調させましょう。
記事のまとめ

今回の記事をまとめます。
・Excelで連続勤務と長時間労働をExcelで見やすく編集する
・作成した資料の提出方法を考える
・リーフレット「強」判定に近い証拠はプリントアウトして提出する
・リーフレット「中」「小」判定の証拠はUSBメモリにデータを入れてフォルダ分けして提出する
証拠が多くなるほど、管理は大変です。
労災申請をする前、私は何も考えずに証拠を集めました。すると、合計700枚以上もプリントアウトしていました。
そこから、重要な証拠を選定したり、マーカーで線を引いたり、とても大変な作業でした。
申立書とともに提出した資料は約120枚。そこから追加資料も加わり、最終的に提出した資料は約150枚程度。
プリントアウトしたほとんどの資料は無駄になりました。
プリントアウトした資料が山のように残っているため、メモ用紙にしています。
証拠集めは大変です。
しかし過去の事例や裁判例をみると、長時間労働が認められると労災認定の可能性は高くなる傾向にあります。
(複数の「中」判定において、長時間労働「中」判定・連続勤務「中」判定の組み合わせが、うつ病や適応障害における労災認定の可能性が高い。)
「強」判定に近い証拠を集めて、わたしたちが抱える精神障害の発症は業務によるものだと証明しましょう。
この記事シリーズでは、労災申請のプロセスを分かりやすく解説します。
あなたが直面している問題に対処するため、私の実体験に基づいた具体的なアドバイスを提供します。
精神疾患発症の原因が業務であることを一緒に証明していきましょう。





