私事

精神障害の労災認定リーフレットの活用法

精神障害の労災認定リーフレット活用法

「強」判定につながる出来事に重点を置いて主張することは、精神障害の労災認定を目指す上で非常に効果的です。

しかし、「強」と判断される出来事を体験する方はそれほど多くないかと思います。
そのため、複数の「中」判定となる出来事を選定し、事実を裏付ける証拠を集めることが大切です

そこで、厚生労働省が発行するリーフレットを活用します。

リーフレットの基準と自分が体験した出来事を当てはめ、体験した項目に印をつけたり、補足を書き足したり。さまざまな視点から出来事を整理しましょう。

前回の記事では精神障害の労災認定リーフレットの概要をお伝えしました。

今回は、私が労災申請をした際に、リーフレットを用いて状況整理した方法を解説します。

これまでの振り返り

リーフレットの基準(ガイドライン)に合う出来事を選ぶ
基準にあった出来事を選ぶ。
一つの出来事で「強」判定を狙うのではなく、複数の「中」判定を合わせて「強」判定を目指す。

基準をもとにした出来事の主張は、労災申請における成功の鍵です
精神疾患に関連する労災申請では、職場での出来事と精神疾患との因果関係を証明する必要があるためです

そのため、まずは有効な出来事をリストアップすることからはじめましょう。

業務で起こった出来事をリーフレットと見比べる

業務で起こった出来事をリーフレットと見比べる

前提条件

精神障害の労災認定要件
1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

リーフレットをもとに、「強」判定につながる例に基づいて、自分が体験した出来事を確認します。

例えば、長時間労働や2週間以上の連続勤務を行った、部署異動で上司が変わりトラブルが発生したなどです。

繰り返しになりますが、「強」判定に近い、複数の「中」の出来事詳細証明することが重要となります

複数の「中」判定を主張して「強」判定を目指した私の体験

複数の中判定を合わせて強判定を目指した私の実体験

ここからは、私が実際にリーフレットを用いて状況確認を行った内容を一部紹介します。

注意:あくまで私個人の判断によるものです。実際の判定は労働基準監督官や医師が行います。参考程度に留めてください。

リーフレットに記載されている事例と、業務で体験した出来事を照らし合わせていきます。

「中」判定 1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った

リーフレット6ページに記載されている項目80時間の時間外労働

参照:精神障害の労災認定リーフレット6ページ

厚生労働省

項目12番「1ヶ月に80時間の時間外労働を行った」

緑色の枠線内に「中」である例には、「1ヶ月におおむね80時間以上の時間外労働を行った」と記載されています。

私の場合、通常の月では20時間〜30時間のサービス残業。そして急なタスクが重なった時期(3ヶ月間)は60時間〜100時間のサービス残業がありました。

この事実を伝えると、監督官から以下のアドバイスをもらいました。

長時間労働を証明できれば、労災認定の可能性は極めて高くなります。

時間外労働が証明できる場合は労災認定率が上がります。意識して主張しましょう。

「中」判定 2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った

リーフレット7ページに記載されている項目2週間以上の連続勤務

参照:精神障害の労災認定リーフレット7ページ

厚生労働省

項目13番「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った」

緑色の枠線内に「中」である例には、「平日の時間外労働だけではこなせいない業務量がある。(1日あたりの労働時間が特に短い場合を除く)」とあります。

1日あたりの労働時間が3時間以上から労働日数としてカウントすると監督官から教わりました。

私の場合、最も忙しかった8月〜9月にかけて、2回の連続勤務(14日連続勤務と17日連続勤務)がありました。(もちろんサービス残業です)

あと少しで、「強」判定である「1ヶ月以上にわたって連続勤務を行った」に該当するところでしたが、2つの連続勤務期間の間に2日間の休日を挟んでいたため、おそらく「中」判定になると推測します。

しかし、限りなく「強」判定に近い「中」判定のため、この時期の証拠を重点的に集めました。

「中」判定 達成困難なノルマが課された

リーフレット6ページに記載されている項目達成困難なノルマ

参照:精神障害の労災認定リーフレット6ページ

厚生労働省

項目7番「達成困難なノルマが課された」

緑色の枠線内に「中」である例には、「達成は容易でないものの、客観的にみて、努力すれば達成も可能であるノルマが課され、この達成に向けた業務を行った」とあります。

私は、下記のように主張をして、出来事に一貫性を持たせました。

連続勤務や長時間サービス残業を行っていた理由は、達成困難なノルマをこなすためです。

上司から達成困難なノルマを与えられ、言われた言葉は

ノルマが達成できないと人事査定に影響するからね。

この事実も労働基準監督官に伝えました。

しかし残念ながら、電話での指示であったため証拠が残っていません。

思い返してみると、これまで理不尽な要求があった場合は、電話もしくは口頭でした。

つまり、録音しない限り証拠が残りません。ハラスメント上司の巧妙な手口なんだと、証拠を集めている際に気づきました。

私に与えられたノルマは上司の2.4倍。理不尽すぎて意味がわかりません。

私がうつ病を患い休職する際、ハラスメント上司は言いました。

アナタなら出来ると思ったから、ほかの人よりも高いノルマだったんだよ。

昇給や特別報酬もなく、上司よりも高いノルマと重い責任を押し付けられる。課のノルマが未達成の際は、全員が参加する会議で、ノルマ未達成の原因を私の責任にされることが度々ありました。

このような行為は、下記のパワーハラスメントにも該当します。

「中」判定 上司等からパワーハラスメントを受けた

リーフレット8ページに記載されているパワーハラスメント

参照:精神障害の労災認定リーフレット8ページ

厚生労働省

項目22番「上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」

緑色の枠線内に「強」である例には、「無視等の人間関係からの切り離し」「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等の課題な要求」「心身負荷としては「中」程度の精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった」などの記載があります。

上司から受けたハラスメントも併せて主張しました。

一年間、人事課や社長に相談しても何の対応もなかったため、この事実だけでも「強」判定の例に当てはまるではないかと考えています

「中」判定と判断できる複数の出来事を重点的に主張した

このように、複数の「中」判定の合わせて「強」判定を狙いました。

私は、体験した出来事をリーフレットに直接書き込んだり、該当するものにマーカーを引いたりしていました。

リーフレット見開きページ

直接書き込むことで、項目ごとの出来事が可視化でき、のちに作成する申立書の作成の負担が減ります

なぶり書きでも、自分が理解できれば問題ありません。

リーフレットのズームバージョン

令和5年9月にリーフレットが更新されました。私が使用していたリーフレットは改定前のもののため、項目や記述に若干の違いがあります。

私が最も主張した点は「長時間労働」と「連続勤務」

私が重点的に主張した長時間労働と連続勤務

過去の裁判例や労災認定の状況を調べると、長時間労働と連続勤務により、精神障害の労災認定となったケースの事例が数件見つかりました。そのため、私もこの点を重点的に主張しようと決めました。

過去の事例や裁判例から、自分と似たケースがあれば、労災認定の可能性は高くなると考えます。

あなたの体調が良いときに、自分の事例と似た例はあるのか調べてみてください。似た境遇の事例が見つかると心強いですよ。
もちろん、個々の案件により判決は変わってくるので過信は禁物です。

私は、長時間労働や連続勤務のほかに、先ほどお伝えした「中」もしくは「強」判定に相当するパワーハラスメントや、「弱」判定の役割・地位の変化、「弱」判定の対人関係についても主張しました。

「弱」判定のものは簡潔に、「中」判定のものだけど「強」判定に近い出来事は念入りに詳細をまとめました

弁護士から教わった時間外労働の豆知識

時間外労働(残業)をする際は、上司の許可を得るよう就業規則に定められているのではないでしょうか。

もし、あなたが上司の許可を取らず、勝手に残業していた場合は時間外労働時間とみなされません。

しかし、サービス残業であっても残業と認められる可能性があります。それは、サービス残業の事実を上司が知っているにも関わらず、黙認していた場合です

サービス残業があると上司が認識していたにも関わらず、何も注意をしなかった。つまり黙認していた場合は、黙視の指示といって、「指揮命令下に置かれた」と法的に判断される可能性が高くなります

自己勉学や、急ぎではないタスクを前もって終わらせるために行ったサービス残業は、時間外労働とは認められないようです。

「指揮命令化にあった」ことが時間外労働の条件になります。そのため、サービス残業を上司が認識していた証拠を集めてください。

勤務時間外のメールや通話履歴、なんでも構いません。多いほど、恒常的(普段から行われていた)と判断されます。

長時間労働の証拠

私の場合、業務終了時刻になると一旦タイムカードを打刻。そのままサービス残業を開始していたので、勤怠記録上では法定で定められている労働時間でした。

そのため、時間外労働を証明するPCログ記録と、サービス残業で作成した成果物を提出しました。

この主張に対して、会社側の反論は

労働者が勝手にサービス残業をしていた。会社から時間外労働をするように指示したことは一度もない。

労災申請後、労働基準監督署から追加書類の提出を求められた際に、監督官から聞きました。呆れてものも言えない状態をはじめて味わいました。

これに対して、

ほぼ毎日、サービス残業をしていることを上司は知っていました。私の休日や勤務時間外にも業務に関する連絡がきて、対応を求められることが度々ありました。

このように主張し、事実を証明できるメール履歴や着信履歴の証拠を提出しました。

リーフレットに労災認定の事例有り

リーフレットの最終ページに、精神障害が労災として認定された例が記載されています。

精神障害の発症が業務による発症であるか、2つの事例から判断できます。

リーフレット13ページに記載されている労災認定の例1

参照:精神障害の労災認定リーフレット13ページ 事例1

厚生労働省
リーフレット13ページに記載されている労災認定の例2

参照:精神障害の労災認定リーフレット13ページ 事例2

厚生労働省

このような事例や裁判例を確認しながら、焦らずに一つずつ証明していきましょう。

私事ですが、信頼していた上司や会社の対応はとても理不尽でした。

このような態度を取られると、義理も恩も感じません。労災認定になった際は、これまでのサービス残業代も合わせて慰謝料請求を行う予定です。

証拠の集め方については、別記事にて解説します。

記事のまとめ

記事のまとめ

今回の記事をまとめます。

精神障害の労災認定リーフレットを使って出来事を整理する
・「強」判定につながりやすい出来事を中心にリストアップする。
・複数の「中」判定となる出来事を選定し、事実を裏付ける証拠集めの準備をする。
・一貫性を持たせて、精神障害の発症は業務に起因すると主張する。

厚生労働省が発行するリーフレットを活用することで、効率的良く状況整理ができます

自分が体験した出来事をリーフレットと見比べて、さまざまな視点から出来事を整理しましょう。

次の記事では、証拠集めの具体的なステップについて詳しく解説します。

この記事シリーズでは、労災申請のプロセスを分かりやすく解説します。
あなたが直面している問題に対処するため、私の実体験に基づいた具体的なアドバイスを提供します。
あなたが抱える不安や疑問を解消し、適切な選択を選べるようサポートします。
あなたの苦痛は事実であり、その苦痛には正当な理由があります。
精神疾患発症の原因が業務であることを一緒に証明していきましょう

このサイトを通じて、証拠収集のプロセスをより理解し、あなたの主張を証明する手段を見つけられることを願っています。

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